吉田正記念オーケストラ
珠玉の吉田メロディー

「やすらぎのストリングス 珠玉の吉田メロディー」

やすらぎのストリングス 珠玉の吉田メロディー
Disc1(弦楽八重奏)
・1、街のサンドイッチマン ・9、夕子の涙
・2、泣かないで       ・10、和歌山ブルース
・3、街燈           ・11、小さな酒場
・4、東京ナイトクラブ   ・12、夜霧の空のエアーターミナル
・5、おまえに        ・13、美しい十代
・6、潮来傘         ・14、赤と黒のブルース
・7、子連れ狼        ・15、傷だらけの人生
・8、寒い朝         ・16、 夜が悪い


Disc 2(弦楽四重奏)
・1、裏町ポルカ       ・8、落葉しぐれ
・2、男のいる街       ・9、哀愁の街に霧が降る
・3、数寄屋橋ブルース   ・10、いつでも夢を
・4、夜霧の第二国道    ・11、勇気あるもの
・5、有楽町で逢いましょう ・12、グッドナイト
・6、江梨子         ・13、再開〜雨の中に消えて
・7、東京しぐれ        ・14、誰よりも君を愛す

試聴する(おまえに)

作曲:吉田 正/編曲・指揮:大沢 可直 /
演奏:トルコ国立イズミール交響楽団
NCS-390〜1 CD2枚組 (定価)¥3,000




吉田メロディーよ、永遠に


湯川 玲子



歌は ”生き物”です。特に大衆歌謡は、その時代の空気を吸い、人々の喜怒哀楽を食べ物として成長し、増殖する存在であり、だからこそ素晴らしいということも出来るでしょう。 ですからそのほとんどは、時代と共に消え去って、十数年もたてばきれいさっぱりと忘れ去られる運命にあります。

でも、それら時代鮮烈に彩って誕生し、大ヒットした数々の吉田メロディーは、忘れ去られた多くの歌の中にあって、半世紀を経た今も、燦然とその輝やきを失わない、数少ない例外ともいえる作品群を形成しているのですが、その理由は一体何なのでしょうか。

それは今回お届けするこの「やすらぎのストリグス〜珠玉の吉田メロディー」をお聴き頂ければ解るように、吉田正作品の歌というのは、実はその誕生の当初から、日本そのものの叙情と心情を映しながらも、日本という限定された土壌を越えたモダンさと、音楽的に洗練された、高度な普遍性を持っていたからだと考えています。

ベタベタしない上品な切なさとロマンティシズム。今こうしてトルコ国立イズミール交響楽団の弦八重奏と四重奏による演奏を聞くと、まるでマントバーニかパーシ・フェイス・オーケストラでも聴いているような、全く違和感の無い、しかもこの上もなく懐かしい贅沢な至福感に包まれてしまうのです。

大沢可直氏が編曲・指揮をするトルコ国立イズミール交響楽団による吉田メロディーは、例えば2000年度の日本レコード大賞企画賞を受賞したCD「交響組曲〜東京シンフォニー」や、生の演奏会で耳にしていますが、ポピュラーな映画音楽を演奏するコンサートとも違って、何か独持の「魂」の存在を感じてしまうのですが、これは決して私だけではないことでしょう。大沢氏その指揮活動のほとんどを海外で送ってこられたそうで、オーストラリア、韓国、台湾、フィリピン、シンガポールなどの他、イズミール交響楽団をはじめとするトルコのオーケストラのレベルアップに貢献。トルコ国内では音楽のアタチェルク(国民の父)と呼ばれる存在だということですが大沢氏はまた熱烈な吉田正信奉者であり、寝ては夢、起きてはうつつというほどに吉田メロディーを愛し、そのクラシカル化に心血をそそいでこられた方でもあります。

そんな大沢氏の吉田メロディーへの想い入れの深さとイズミール響の人達の大沢氏への信頼。そしてその両者の吉田メロディーへの恩敬の念がひとつになって、「魂」とでも表現するほかにない深い味わいを作り出しているのではないでしょうか。

 そのことによって吉田メロディーは現実に国境を越え、時代を超えて、また新しい永遠の命を持って息づいていくのだと思います。そして私自身もそこに、敬愛してやまなかった吉田先生の、熱く暖かくたくましかった、あの慈父のような微笑みを見る想いをしているのです。


吉田メロディーよ、永遠に−湯川 玲子